▷院長ブログ「尿もれでお悩みの方🚽」2020/7/28(火)
尿のトラブル外来
頻回におしっこにいきたくなる、おしっこのために何回も起きる、おしっこがでずらい、おしっこの後もすぐにおしっこをしたくなる、おしっこが間に合わない、おしっこをもらすことがある、このような症状はありませんか?
当クリニックでは、年齢、性別、症状、併存疾患、生活環境に応じた適切なアドバイスをおこない、患者さんひとりひとりに応じたお薬を選び治療を開始します。
尿のトラブルを引き起こす代表的な病気は前立腺肥大症と過活動膀胱です。
これらの病気に対する当クリニックでおこなっている診断法、治療法などをご説明いたします。
前立腺肥大症
前立腺は男性にだけある生殖器です。前立腺肥大症とは、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して「尿のトラブル」を引き起こした状態のことをいいます。前立腺は加齢とともに徐々に大きくなる傾向があり、男性の「尿のトラブル」の最も多い原因と考えられています。55歳以上の男性の約5人に1人は前立腺肥大症といわれており、多くの男性が悩んでいる疾患です。
尿のトラブルがあるにもかかわらず年齢のせいだとあきらめていませんか?おしっこの悩みは前立腺肥大症かもしれません。前立腺肥大症は、早めに治療すれば、通常通りの生活を送ることが期待できる病気です。適切な治療を受けずにいると、加齢とともに前立腺の肥大は進み症状も悪化し、日常生活に影響の出る疾患です。心当たりのある方は早めにご相談ください。
症状
1) 排尿症状:尿が出にくい
- 尿の勢いが弱く時間がかかる
- いきまないとなかなか出ない
- おしっこをしている間に何度か途切れてしまう
2) 排尿後症状:尿が出きらない状態
- おしっこをしたのに、まだ残っている感じがする
- トイレのあと、おしっこが漏れてしまうことがある
3) 畜尿症状:尿が十分にためられない
- おしっこを我慢できないことがある
- 夜中に何度もトイレに起きてしまう
- 一日8回以上、トイレに行く
4) 尿閉:尿が出なくなる
前立腺肥大症が悪化すると、尿道が完全にふさがってしまいおしっこが出なくなり、腎臓に悪影響をおよぼす可能性があります。このような場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
検査
当クリニックの検査手順です。
問診
IPSS(国際前立腺症状スコア)を行い、排尿症状を点数化し、その合計点で現在のおしっこの状態を把握します。
血液検査
必要に応じてPSA測定を行います。
前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎など前立腺に異常があれば、血液中のPSAの量が増えてきます。ただし、前立腺肥大症に特異的な検査ではありません。
治療
日常生活で注意すべきことなどのアドバイスを行います。
症状や生活環境に応じた適切なお薬を選び治療を開始します。治療の効果がみられるには少なくとも3~4か月の服用が必要です。薬剤によっては副作用として、勃起障害や射精障害を起こす場合もありますので注意が必要です。きちんと服用したにもかかわらず、治療効果が不十分な場合は、内視鏡手術も含め、より専門性の高い医師をご紹介致します。
過活動膀胱
過活動膀胱とは、加齢やさまざまな原因により膀胱が過敏になり、自分の意思に反して収縮してしまう病気です。症状としては、急におしっこがしたくなりもれそうになったり、もらしてしまう・日中のおしっこの回数が多くなり、夜寝てからも頻回におしっこに起きるなどです。40歳以上の日本人の8人に1人が、過活動膀胱によって日常生活に支障をきたしているといわれています。
- トイレを気にして水分を控えている
- いつもトイレの場所を確認しないと安心できない
- トイレが心配で外出を控えている
- おしっこに頻回に起きるために睡眠不足になっている
- 尿漏れにそなえて尿パッドを使ったり、着替えを持ち歩いている 心配で仕事や家事が手につかない
こんな症状に悩んでいませんか? 年のせい、体質のせいとあきらめていませんか? もしかしたら過活動膀胱かもしれません。過活動膀胱は適切なトレーニングやお薬で軽減させることができる病気です。
診断
当クリニックでは、過活動膀胱の症状チェックシートを用いて、その症状を点数化し重症度を判定し診断します。
過活動膀胱の症状質問票
1.朝起きた時から寝る時までに何回くらい尿をしましたか
0点:7回以下 1点:8~14回 2点:15回以上
2.夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きましたか
0点:0回 1点:1回 2点:2回 3点:3回
3.急に尿がしたくなり我慢が難しいことがありましたか
0点:なし 1点:週に1回より少ない 2点:週に1回 以上 3点:1
日に1回くらい 4点:1日に2~4回 5点:1日に5回以上
4.急に尿がしたくなり我慢できずに尿をもらすことがありましたか
0点:なし 1点:週に1回より少ない 2点:週に1回 以上 3点:1日に1回くらい 4点:1日に2~4回 5点:1日に5回以上
過活動膀胱は、質問3のスコアが2点以上 かつ合計点数が3点以上で診断されます。さらに合計点数で重症度を判定します。
軽症:5点以下 中等症:6~11点 重症:12点以上
治療
過活動膀胱は適切なトレーニングとお薬により治すことができる病気です。患者さんひとりひとりに準じた適切なアドバイスとお薬による治療をおこないます。
1)トレーニング
1. 膀胱訓練
おしっこをできるだけがまんして、膀胱に尿を十分ためられるようにします。
2. 骨盤底筋体操
膣や肛門を繰り返し閉めたり緩めたりすることにより、尿道を閉める力を強くします。
2) お薬
1.抗コリン薬(製品名:トビエース・ベシケア・ウリトス・ステーブラ・バップフォーなど)
膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑えておしっこをたくさんためられるようにします。副作用として、口がかわく、便秘、物がかすんでみえる、めまいなどがあります。
2. β3受容体作動薬(製品名:ベタニス・ベオーバ)
膀胱の筋肉をゆるませ、膀胱を大きくしておしっこをためやすくします。
3.オキシブチニン塩酸塩経皮吸収型製剤(製品名:ネオキシテープ)
1日一回貼るテープ剤です。