物忘れ・認知症外来

物忘れ・認知症外来

 認知症は生活習慣病のひとつで、物忘れ・日時の把握の混乱・自発性や意欲の低下・怒りっぽいなど様々な機能の低下が初期症状です。


 認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症であり、発症する約20年前ころから原因物質(アミロイドベータペプチド)が蓄積され認知機能が少しずつ低下していきます。


 最近の研究では初期の段階(軽度認知症:MCI)から治療を開始すれば認知症の発症を遅らせたり予防できることがわかってきました。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の予防が認知症予防のために重要です。健康な方でも高齢になるにつれて認知症のリスクは高まります。適切な検査を行い、早い段階での認知症治療をお勧めします。


検査

問診:聞き取りによる簡単なスクリーニング検査

当クリニックでは、最初に改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を用いてスクリーニング検査を行なっております。

血液検査・尿検査:生活習慣病のチェック
MRI検査:VSRADという特別な撮影法で脳の萎縮の程度などからアルツハイマー病のリスクを診断(関連施設で実施)
MCIスクリーニング検査(血液検査):アルツハイマー病の前段階であるMCI(軽度認知症)のリスクを判定(健康保険適用外)

 MCIスクリーニング検査とは、アルツハイマー病の前段階であるMCI(軽度認知症)のリスクを調べる検査です。アルツハイマー病は、アミロイドベータペプチドという老廃物が脳内に蓄積し、神経細胞を破壊することで発症します。この検査では、アミロイドベータペプチドを排除する機能を持つ血液中の3つのタンパク質(アポリポ蛋白A:APOA1・プレアルブミン:トランスサイレチン・補体C3)を調べることでMCIのリスクをA~Dの4段階で判定します。主として50歳以上を対象として開発された検査です。


遺伝子検査(血液検査): APOE遺伝子型を調べることで認知症の発症リスクを判定(健康保険適用外)

 APOE(アポイー)遺伝子検査は、血液検査で行います。アポリポ蛋白Eをコードとする遺伝子(APOE遺伝子)には6種類の異なった遺伝子型の組合せ(ε2/ε2、ε2/ε3、ε2/ε4、ε3/ε3、ε3/ε4、ε4/ε4)があります。この遺伝子型がアルツハイマー型認知症の発症リスクに関連します。なかでもε4の遺伝子を持つ場合は、アルツハイマー病を発症するリスクが高いことが分かっています。このAPOE遺伝子型を調べることで認知症の発症リスクを判定します。遺伝子検査には本人あるいは代諾者による検査同意書への署名が必要です。

 当クリニックでは、これらの検査結果を通じて生活指導などの適切なアドバイスと薬物治療を行っています。

 正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫・脳腫瘍などの脳の病気も認知症の原因の一つです。これらが原因で発症した認知症様症状は適切な手術治療により改善できる場合もあります。脳外科専門医である院長の阿部が診察し、必要であれば、信頼のおける関連施設をご紹介致します。


費用

脳MRI検査:健康保険適応の場合 約8,000円
MCIスクリーニング検査(血液検査):健康保険適応外 19,000円(税込)
APOE遺伝子検査(血液検査):健康保険適応外 15,000円(税込)