▷院長ブログ「[院内勉強会]水ぼうそうと帯状疱疹の関係🌸」2020/3/20(金)
▷お知らせ「[文京区在住65歳以上の方]帯状疱疹予防接種費用助成💉」2019/12/4(水)
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、体の中に潜んでいたヘルペスウィルスの一種である水痘・帯状疱疹ウィルスによって起こります。これらのウィルスは小児期に感染し、水ぼうそうとして発症します。
そのウィルスが体内の神経節に潜み、加齢やストレス、過労などが引き金となり再び活動をはじめ帯状疱疹として発症します。夏から秋にかけては帯状疱疹が多い季節です。
発症年齢
50歳以上に多く見られますが、過労やストレスにより若い人にも発症します。日本では80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。通常は生涯に一度しか発症しませんが、免疫力が低下している患者さんなどは再発することもあります。2回以上帯状疱疹にかかる人は、全体の約4~6%です。
症状
ふつうは左右どちらか一方にピリピリと刺すような痛みと、それに続き赤い斑点と水ぶくれが帯状に現れます。それに由来して帯状疱疹と名づけられました。水ぶくれは粟粒大~小豆大で中央にくぼみがみられるのが特徴です。この痛みは皮膚や神経の炎症によるもので、通常は皮膚症状が治ると痛みは消えていきます。
発症部位
胸から背中にかけて最も多くみられ、全体の半数以上が上半身に発症します。顔面、特に眼の周囲も発症しやすい部位です。
合併症
一般的な合併症として、発熱や頭痛がみられることがあります。顔面の帯状疱疹では角膜炎や結膜炎などを起こすこともあります。さらに耳鳴り、難聴、顔面神経麻痺などが生じることもあり、これをラムゼイ・ハント症候群と呼びます。
帯状疱疹後神経痛
通常は皮膚症状が治ると痛みは消えますが、その後もピリピリと焼けるような、刺されるような痛みが3~6か月持続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。
これは急性期の炎症のよって神経に強い損傷が生じたことにより起こる後遺症です。50歳以上の約20%が帯状疱疹後神経痛に移行するといわれ、高齢になるほど移行率は高くなります。
帯状疱疹は周りに感染するか?
帯状疱疹として周囲の人にはうつることはありませんが、水ぼうそうに一度もかかったことのない人には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。
帯状疱疹は、口からウイルスが広がることはまれですが、水ぶくれからウイルスが出て感染することがあります。皮膚の症状が治るまでは、水ぼうそうにかかっていない赤ちゃんや子供、妊婦さんと接触しないようにしましょう。
検査
当クリニックでは水痘・帯状疱疹ウイルスを調べるデルマクイック®VZVという検査キットを導入(健康保険の適応)しており、これを用いて検査します。水ぶくれや湿疹から少量の液を採取し、10-15分間で帯状疱疹かどうかの診断ができます。皮膚の病変は薬物治療により、かえって病変が悪化する場合もありますのできちんと診断することは重要です。
治療
上記の検査キットにより帯状疱疹であった場合は、抗ヘルペスウイルス薬を使います。抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みをやわらげ、治るまでの期間を短くします。発症早期に服薬を開始するほど治療効果が期待できます。また、痛みが強い場合は、症状に応じて痛み止めを併用します。
帯状疱疹後神経痛の治療については、鎮痛薬や抗うつ剤などにより痛みをできるだけ軽くする治療を行います。痛みが強い場合は神経ブロックという治療を行うこともあります。
日常生活上の注意点
- できるだけ安静にしましょう
十分な睡眠と栄養をとり、精神的・肉体的な安静を心がけることが回復への近道です。 - 患部を冷やさないようにしましょう
患部が冷えると痛みがひどくなりますので、患部は冷やさずに温めて血行を良くしましょう。 - 水ぶくれは破らないようにしましょう
水ぶくれが破れると、細菌による感染がおこりやすくなります。自分だけではなく周囲の人にも感染するおそれがでてきますので注意が必要です。 - 小さな子供との接触は控えましょう
水ぼうそうにかかったことがない乳幼児には水ぼうそうを発症させるおそれがありますので注意しましょう。
帯状疱疹が疑われる場合、症状を軽くし、合併症や後遺症である帯状疱疹後神経痛のリスクを減らすためにも早めの治療が必要です。ぜひ、お早めにご相談下さい。
帯状疱疹ワクチンについて
当クリニックでは乾燥弱毒水痘ワクチン「ビゲン®」を使用しています。主に水痘および50歳以上の方の帯状疱疹の予防に使用しています。帯状疱疹にかかったことのある人にも接種可能です。妊娠している方、免疫機能に異常のある方および免疫抑制をきたす治療を受けている方には接種できません。
他の生ワクチンの接種を受けた場合は、27日以上、不活化ワクチンの接種を受けた場合は、6日以上の間隔をあけて接種可能となります。また、帯状疱疹ワクチン接種後に他の生ワクチンおよび不活化ワクチンを接種する場合は、27日以上の間隔をあけて下さい。医師が必要と認めた場合は、インフルエンザワクチンや成人の肺炎球菌ワクチンと同時に接種することもできます。