▷院長ブログ「[院内勉強会]過活動膀胱の新しい治療薬💊」2019/7/9(火)
過活動膀胱とは
過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、自分の意思に反して収縮してしまい、次のような症状がおこる病気です。40歳以上の日本人の8人に1人が、過活動膀胱によって日常生活に支障をきたしているといわれています。過活動膀胱の症状を持つ人は年齢とともに増え、800万人以上いるといわれています。
症状
- 尿意切迫感:急におしっこがしたくなり、もれそうな感じになる。
- 切迫性尿失禁:急におしっこがしたくなりもらしてしまう。これは困窮度が高いにもかかわらず、言い出しにくい症状です。
- 頻尿:日中のトイレの回数が多すぎる(昼間頻尿)・夜寝てからトイレに行くために一回以上起きる(夜間頻尿)。
原因
過活動膀胱の原因はさまざまです。明らかな原因がないのに起こることも少なくありません。
- 脳血管障害、パーキンソン病、脊髄疾患などの脳や脊髄の神経系トラブルがあると、膀胱がうまくコントロールできなくなります。
- 前立腺肥大症により尿道が圧迫されると、おしっこの出が悪くなるだけでなく、膀胱が過敏になります。
- 糖尿病
- 直腸、子宮、卵巣などの手術
- 加齢により膀胱が過敏になります。
診断
1) 問診
過活動膀胱の症状チェックシートを用いて、その症状を点数化し重症度を判定し診断します。
過活動膀胱の症状質問票
1・朝起きた時から寝る時までに何回くらい尿をしましたか
0点:7回以下 1点:8~14回 2点:15回以上
2・夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きましたか
0点:0回 1点:1回 2点:2回 3点:3回
3・ 急に尿がしたくなり我慢が難しいことがありましたか
0点:なし 1点:週に1回より少ない 2点:週に1回 以上 3点:1
日に1回くらい 4点:1日に2~4回 5点:1日に5回以上
4・ 急に尿がしたくなり我慢できずに尿をもらすことがありましたか
0点:なし 1点:週に1回より少ない 2点:週に1回 以上 3点:1日に1回くらい 4点:1日に2~4回 5点:1日に5回以上
過活動膀胱は、質問3のスコアが2点以上 かつ合計点数が3点以上で診断されます。さらに合計点数で重症度を判定します。
軽症:5点以下 中等症:6~11点 重症:12点以上
2) 尿検査
おしっこの中に細菌や血液などが入っていないかどうか調べます。
3) 超音波検査
膀胱に残っているおしっこの量を測ったり、膀胱内に腫瘍がないかどうか調べます。
治療
過活動膀胱は適切なトレーニングとお薬により治すことができる病気です。
1) トレーニング
1・ 膀胱訓練
おしっこをできるだけがまんして、膀胱に尿を十分ためられるようにします。
2・骨盤底筋体操
膣や肛門を繰り返し閉めたり緩めたりすることにより、尿道を閉める力を強くします。女性でみられる咳やくしゃみをしたり、重いものを持ったりしたときに尿がもれてしまう「腹圧性尿失禁」にも有効なトレーニング法です。
2) お薬
1. 抗コリン薬(製品名:トビエース・ベシケア・ウリトス・ステーブラ・バップフォーなど)
膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑えておしっこをたくさんためられるようにします。副作用として、口がかわく、便秘、物がかすんでみえる、めまいなどがあります。
2.β3受容体作動薬(製品名:ベタニス・ベオーバ)
膀胱の筋肉をゆるませ、膀胱を大きくしておしっこをためやすくします。
3. オキシブチニン塩酸塩経皮吸収型製剤(製品名:ネオキシテープ)
1日一回貼るテープ剤です。