2023/1/20(金)
こんにちは。今日は、みなさんにぜひお知らせしたい情報があり、ブログを書いています。今回は伝えたいことがたくさんあって長くなってしまったので、先に言いたいことをまとめてみるとこんな感じです:
- 帯状疱疹は、発症すると痛くて辛いし、その後も神経痛や後遺症に悩まされる可能性があります。
- 特に50歳以上の方は帯状疱疹になるリスクが高いので、予防のために、ぜひ帯状疱疹ワクチンを打つことをおすすめします。
- 新しく認可された帯状疱疹ワクチン「シングリックス」は、予防効果が高い&予防期間が長いです。
- 文京区では今年(令和5年)の4月から、今まで65歳以上が対象だった帯状疱疹ワクチン接種の助成年齢が50歳以上に拡充されます。
そもそも、帯状疱疹ってどんな病気かご存知でしょうか?
症状としては、ある時、体の片側の一部にピリピリとした痛みがあらわれて、その部分に水ぶくれを伴う赤い発疹が出ます。痛みは徐々に増して、夜眠れないくらいの激しい痛みの場合もあるんです。症状の多くは上半身にあらわれますが、顔や目、頭にあらわれることもあります。
ちなみに、原因となるのは水ぼうそうのウイルスと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。はじめて感染したときは「水ぼうそう」として発症しますが、治った後もウイルスは体内に潜んでいます。普段は免疫力によって活動が抑えられていますが、加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが暴れ出します。ウイルスが神経に沿って移動し、皮膚に到達して発症したものが帯状疱疹です。
日本人の成人は9割がウイルスを体内に持っていると考えられているので、加齢やストレスなどで免疫力が下がった際、帯状疱疹を発症する可能性があります。ちなみに、帯状疱疹を発症した際、周囲の人に帯状疱疹としてうつることはありません。ただ、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない人には感染する可能性があって、その場合は「水ぼうそう」を発症します。なんと、水ぼうそうの入院患者さんのうち、約3割は帯状疱疹が感染源だと報告されています。
帯状疱疹には有効な抗ウイルス薬があるので、発症してしまったら、できるだけ早く抗ウイルス薬による治療を始めることが大切です。ただ、厄介なのは、帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、何ヶ月・何年も痛みが残ってしまう、「帯状疱疹後神経痛(Post-herpetic neuralgia:PHN)」になってしまう可能性があることです。50歳以上では、約2割の患者さんがPHNに移行するといわれています。さらには、目や耳に帯状疱疹があらわれると、めまいや耳鳴りといった合併症が見られることがあったり、重症化すると、視力低下や失明、顔面神経麻痺など、重い後遺症が残る危険性もあります。
データを見ると、帯状疱疹を発症した患者さんの約7割が50歳以上です。日本では高齢化に伴い、発症する患者さんの数は右肩上がりで増えていて、80歳までに3人に1人がかかるといわれています。ただ、免疫力が低下したときに発症するため、若い方であっても疲れやストレスがたまることによって発症することがあります。
このように、辛い症状で、後遺症や合併症のリスクもあるため、帯状疱疹にならないように日頃からの体調管理を心がけ、免疫力を低下させないことが大切です。あわせて、ワクチンの予防接種もおすすめしています。
文京区では、令和5年度の区の重要施策事業として「Withコロナ時代に向けた \帯状疱疹ワクチン予防接種費用助成制度の拡充」が決定し、帯状疱疹ワクチンの助成対象の年齢がひろがることになりました。
文京区に住民登録がある方のうち、今まで65歳以上を助成対象としていた年齢が、令和5年4月1日から50歳以上に拡充されます。(そもそも、文京区は令和元年10月から、都内で初めて帯状疱疹予防接種費用の一部を助成していたんです。すごいですよね。)今までは全額自費で接種しなければいけなかった50歳〜64歳の方にとってはとても良い機会なので、ぜひ、接種をおすすめします。
さらに、これまでは乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」のみが助成対象だったのですが、令和5年4月1日からは、世界初の組換えサブユニットワクチン「シングリックス」の接種も選択できるようになり、ともに、ワクチン接種単価の半額程度の助成が予定されています。
(※令和5年3月31日までは、文京区在住の65歳以上の方のみ、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」の接種に対して助成が受けられて、自己負担額は4,000円で接種できます。)
この「シングリックス」は、2020年1月に新たに帯状疱疹専用の予防接種として認可されたもので、帯状疱疹に対する高い予防効果で注目されています。
値段が1回22,000円(税込)と高価で、2ヶ月の期間をあけて2回の接種(筋肉注射)が必要ですが、効果が持続する期間が長く、10年以上といわれています。文京区のホームページで公開されている助成の予定では、シングリックスについても、「ワクチン接種単価の半額程度の助成を予定」となっています。
もう一方の乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」は日本で開発され、1986年に認可されてから長く小児の水痘予防に使用されてきたもので、2016年に50歳以上の方に対する帯状疱疹の予防についても効能・効果に追加されました。予防効果は5年ほどですが、接種回数が1回(皮下注射)でよく、値段もシングリックスより安価で7,200円です。
2種類の帯状疱疹ワクチンは、それぞれの特徴によって、ご自分にあった方を選ぶことができます。(ただし、「ビケン」は生ワクチンのため、免疫機能が低下する病気にかかっている方や免疫力を抑制する治療を受けている方には使用できず、そのような場合は不活化ワクチンである「シングリックス」を選択することになります。)当クリニックではどちらのワクチンも接種することができますので、帯状疱疹ワクチンの接種を検討されている方はお気軽にご相談ください。
今日は、帯状疱疹についてのお話でした。毎日寒いので、風邪をひかないようみなさんくれぐれもお気をつけくださいね。