[院内勉強会]重症花粉症の方への注射治療「ゾレア」😷

[院内勉強会]重症花粉症の方への注射治療「ゾレア」😷

2020/3/8(日)

 みなさん、こんにちは。今日はあいにくのお天気でしたね。外出を控えて、僕は今日も一日家にいて、リラックスしていました。そういえば、外に出ていないのに、朝起きたら鼻水が出てきて、アレルギー性鼻炎の症状が出てしまいました。アレルゲン迅速検査で調べたところ、僕のアレルゲンはスギだったので、コートなどについていた花粉を吸ってしまったのかもしれません。抗ヒスタミン薬を飲んだらピタッと症状が止まり、良かったです。

 さて、この時期多くの患者さんがお困りの花粉症ですが、以下のデータを見て、改めて驚きました。花粉症のせいで、7割の方が日常生活に支障を感じていて、仕事や勉強のパフォーマンスが低下してしまうそうです。

 今はいいお薬がたくさんあるので、くしゃみ・鼻水・鼻閉・眼のかゆみなどのアレルギー症状のうち、8割は飲み薬や点鼻薬、点眼薬で効果が得られているそうです。今回は、今までの治療では効果が不十分な、特に症状の重い「重症花粉症」の治療薬であるゾレア®(ノバルティスファーマ株式会社)について勉強会を行いました。

 まず、「重症」とはどれくらいの症状なのでしょうか?あまり、くしゃみや鼻をかんだ回数を数えたことはないかと思いますが、是非、ご自分の症状を把握するためにも、回数を数えてチェックしてみてくださいね。

 みなさんの重症度・病型はどうでしたか?花粉症の治療では、患者さんお一人おひとりの重症度・病型に応じて飲み薬や点鼻薬・点眼薬を使っていきます。

 まず、花粉症の症状が起きる仕組みについて簡単に説明すると、①抗原である花粉が体内に入った後、②抗体(IgE)が作られ、③抗原と抗体(IgE)がマスト細胞に結合します。そして、④炎症を引き起こすヒスタミンなどの化学物質がマスト細胞から放出されてアレルギー反応が起きてしまいます。みなさんも、「抗ヒスタミン剤」という言葉を聞いたことがあると思いますが、今までのお薬は、ヒスタミンなど化学物質の働きを抑えたり、それによって起こる炎症を抑える性質のものでした。つまり、今までのお薬は④の段階に効果を与えるものなのですね。これに対して、ゾレア®は、IgEと結合することで、IgEがマスト細胞に結合できなくしてしまいます。つまり、③の段階を阻止する働きをもっています。画期的ですよね。

 花粉症の症状で辛い方は、ぜひ使ってみたいでしょうが、実は、花粉症の患者さんが誰でも使えるわけではありません12歳以上で体重が20~150kgの方のうち、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 血液検査でアレルギー抗原(スギ花粉)に対して陽性であること
  • 今までのお薬の治療では効果が不十分で、重症・最重症であること
  • 血液中のIgEの値が30~1,500IU/mlであること

 ゾレア®は、月に1~2回通院して皮下に注射をします。お薬の量と注射の間隔は、患者さんの体重と血液中のIgEの量によって異なります。期間は、原則として最大で12週間です。その間、飲み薬も併用して治療を行わなければならないことも条件の一つです。

 昨年の12月から保険適応になったのですが、それでもかなり高額のお薬です。


 今回の勉強会を行い、当クリニックでもゾレア®治療の導入を検討しています。しかし、忘れてはいけないのは、ゾレア®治療でも花粉症が根本的に治るわけではなく、あくまでも注射している期間の症状を抑えられるということです。スギ花粉症を根本的に治したい方には、やはり舌下免疫療法をオススメします。これはスギ花粉が飛んでいない時期に始めなければならないため、6月くらいから治療が開始できます。

 辛い花粉症で悩まれている方は、ぜひご相談下さい。ノバルティスファーマ株式会社のMRさん、有意義な勉強会をありがとうございました。