2019/9/19(木)
昨日のお昼休みは、日本生まれのSGLT2阻害剤である糖尿病治療薬「ルセフィ®」(大正製薬株式会社)の勉強会を行いました。
SGLTとは「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種のことで、グルコースを栄養分として細胞内に取り込む役割を担っています。SGLTには1,2,3..といくつものサブタイプがあるのですが、近位尿細管というところで再吸収されるグルコースのうち、90%はSGLT2の働きによるものです。
健康な人は、SGLT2の働きによってグルコースのほとんどが再吸収されるため、尿に糖は排泄されません。しかし、糖尿病の患者さんは、原尿中にグルコースが大量に存在するとともに、SGLT2が増加していることがわかっています。これはどういうことかというと、大量に存在するグルコースを排出しなければ高血糖が改善されないのに、SGLT2が増加してしまっていることで、グルコースが再吸収されてしまい、尿に糖が排出されない悪循環になっているということです。
SGLT2阻害剤を服用することで、増加したSGLT2の働きを阻害し、近位尿細管でのグルコース再吸収が減って、尿へのグルコース排泄が増加し、血糖が低下します。
今日勉強したルセフィ®は複数の代謝経路をもち、複数の代謝酵素により代謝される薬であるため、今後求められる「個人差の少ない薬」と言え、これは他のSGLT2阻害剤にはない特徴だそうです。他に、体重減少効果や腎臓保護作用もあります。用量も2.5mgと5mgがあるため血糖値により量を調整することが可能で、一日一回の服用ですみます。
糖尿病の疑いがあると言われたけれど、ずっと薬を飲み続けるのが嫌で、治療に踏み出せない方は、意外と多いのではないでしょうか。毎日お薬を飲むのは面倒かもしれませんが、万病のもとである糖尿病を放っておいては、後々生活に支障をきたす症状に繋がりかねません。健康寿命を伸ばすためにも、少しでも不安がある方は、早めに治療を開始しましょう。
大正製薬株式会社のMRさん、有意義な勉強会をありがとうございました。