2020/3/29(日)
みなさん、こんばんは。今朝は起きたら大吹雪で、窓の外が真っ白でびっくりしました。今週末は外出自粛要請のため、お家でゆっくりされていた方が多いのではないでしょうか。せっかく桜が満開だったのに、ゆっくりお花見ができなくて残念ですが、仕方ありませんね。僕は最寄駅の入口にキレイな桜の木があるので、クリニックの行き帰りにその桜を見て癒されています。
今日ご紹介する勉強会は、日本では100万人に1人くらいと言われている珍しい病気についてです。少し難しいお話で、僕の説明がわかりにくいかもしれないですが、おつきあいいただけたら嬉しいです。
みなさん、ご自分のコレステロールの値はきちんと把握していますか?悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールが多すぎたり、善玉コレステロールと言われるHDLコレステロールが少なすぎたりすると動脈硬化や血栓のリスクが高くなります。また、LH比(LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値)と言われるこの2つのコレステロールのバランスも大切で、当クリニックでは、動脈硬化や血栓のリスクが高くなるLH比2.5以上を目安として治療を始めています。他に高血圧や糖尿病、あるいは心筋梗塞などの病歴がある場合には、LH比2.0以上が目安です。
※ たとえば、LDLコレステロール値が135mg/dl、HDLコレステロール値が45mg/dlの場合、「135÷45=3」でLH比は3.0となります。
自覚症状があるわけではないので、ほとんどの方は、会社の健康診断などで悪玉コレステロールが高いと指摘されてご来院されます。通常、悪玉コレステロールが高くなる原因は食生活や肥満などなのですが、肥満体ではなく、食生活にも問題がないのに悪玉コレステロールが高い場合は、もしかすると家族性高コレステロール血症かもしれません。
家族性高コレステロール血症は、「悪玉コレステロールが高い」「腱や皮膚の黄色腫」「早発性の冠動脈疾患」を主な3つの特徴とする、常染色体遺伝性疾患です。冠動脈疾患のリスクがとても高く、早期の診断と厳格な治療が必要とされています。
- LDLコレステロールが180mg/dl以上
- 腱や皮膚の黄色腫
- 家族性高コレステロール血症あるいは早発性冠動脈疾患の方が2親等以内にいる家族歴
のうち、2つ以上当てはまると診断されますが、特徴的な症状がない場合は遺伝子検査も行われます。
家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia: FH)にはヘテロ接合体(HeFH)とホモ接合体(HoFH)の2つのタイプがあります。ほとんどがヘテロ接合体(HeFH)のタイプで、治療には通常の高コレステロール血症の治療に使われるスタチン系のお薬を使います。今回の勉強会で扱ったのは、珍しい方のホモ接合体(HoFH)タイプの治療薬です。
ホモ接合体(HoFH)タイプの患者さんは、日本では100万人に1人ですから、本当に珍しい病気ですよね。
このホモ接合体家族性コレステロール血症(HoFH)で、通常のスタチン系のお薬が有効でない方に使っていただくお薬が、今回勉強したジャクスタピッド®(レコルダティ・ディーズ・ジャパン株式会社)です。ジャクスタピッド®はカプセルを一日一回、夕食の後に2時間以上あけて服用します。ほかの食べ物や飲み物とは一緒に飲まないこと、かみ砕いたりしないことが大切です。
悪玉コレステロール値が高いと指摘されても、痛くも痒くもないので治療をせず放っておいてしまう方が少なくありません。将来の重大な病気につながらないよう、ぜひ、早めの治療を始めていただきたいです。
レコルダティ・ディーズ・ジャパン株式会社のMRさん、とても有意義な勉強会をありがとうございました。